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日本人は「建て前」と「本音」を使い分けると、よく言われる。しかし、国際社会の中で日本がそれをうまく活用しているかといえば、そうではない。自らの本音をきちんと意識できず、それを通すための政治力も発揮できず、ただアメリカ追随(大勢で日本の国益にかなうと思っている方向)に動いているのが実情だ。だから、アメリカの顔色を見て右往左往している。国際社会の場では、
日本は自らの論理カのなさを露呈(注)していると言える。
国際関係の場合、「国際平和」などという道徳、倫理にかなう建て前以上に、各国の国盆という本音が複雑に絡み合う。国カによる発言力の強さが大きくものを言うだけに、外交の場は単純に論理カだけで通用するわけではない。
とはいえ、多くの国々を納得させるためには、論理力が大きなカを発探するのは確かだ。日本の国際的な地位が、経済カに比べてあまりに低いのは、論理の嫌さにあるといっても、あながち間違いではないだろう。
(棚口裕一 『頭の整理がヘタな人、 うまい人】 大和書房)
(注) 露呈 : 隠れているものが表れること