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「はい」と「いいえ」、とても簡単な言葉のようだが、外国語に言い換えるのは意外に難しい。「あなたはですか」「はい、そうです」。この場合は英語の「イエス」と同様の使い方なので、問題はない。しかし、電話がかかってきたとき、受話器をとって「はい、でございます」と言う時はどうだろうか。また、相手の話を聞くとき、日本人は「はい」「はい」と相づちを打つ。これを「イエス」「イエス」と言ってしまったらどうだろうか。こちらはただ「あなたの話を聞いていますよ」というサインのつもりでも、相手は肯定の意味にとってしまうかもしれない。「できませんか」と聞かれて「いいえ」と言えば、これは「できる」という意味になる。「はい」ならば「できない」という意味。これを英語式に答えると、前者は(A)、後者は(B)となり、日本語とはまったく逆になる。つまり英語では相手の質問の形式に関係なくできることには(C)、できないことには(D)を使うわけで、誤解の元になることも多いのではないだろうか。
簡単そうな言葉ほど外国語とのずれに気づきにくい。