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私はマネ(注1)の作品に特別の「目」を感じます。その最大の理由はどこにあるのでしょうか。
一般的な絵画の場合、ルノワール(注1)にしてもモネ(注1)にしても、われわれが普通に見た時の姿が基準で描かれています。つまり、鑑賞者が主役に仕上げられている絵であり、それは、「私が見ている絵」ということになります。しかし、マネの作品の場合は、あくまでも絵そのものが主役に仕上げられており、それは、我々に「(A)」という気を起こさせます。おそらく、マネ自体が、独自の視点(注2)・視線で物事を捉えていたのでしょう。
有名な「笛を吹く少年」にしても、一見、普通に笛を吹いている少年の絵のような図柄であり、少年の目が特別鋭くこちらを見ている絵でないにもかかわらず、どこから見ても、①「なぜかこちらをじっと見られているような気になります」。ほかの作品にしても、いずれも絵そのものに、非常に強い主張が感じられます。
マネはまた、純粋絵画を目指した画家でした。それは、絵を鑑賞する際のあらゆる解釈を取り除き、絵そのものの存在感だけを追求したということです。「解釈は関係ない。そこに絵が存在する」。彼の絵があれほど主張を感じさせるのは、②そこからきているのでしょう。
(注1) マネ、ルノワール、モネ:19世記から20世紀はじめのフランスの画家
(注2) 視点:物事を見たり考えたりする立場