(1)ふるさとや家族について、はじめて意識的に考えたのは18歳のときだった。つまり、家族と離れて、東京で一人暮らしをはじめたときである。かなり重症(注1)のホームシック(注2)で、休みになるとすぐに帰省(注3)した。で、帰って何をするかというと、特別なことは何もない。
 ふるさとは、帰ってみると、実になんでもないところである。そして、そのなんでもなさが、ふるさとの魅力なのだ、と思う。
 あたりまえのことの大切さやありがたさに気づくためには、すこし離れて見るのがいい。ふるさとを離れると、ふるさとのよさが見えてくる。

(俵万智「101個目のレモン」による)

(注1)重症:病気が重いこと
(注2)ホームシック:ふるさとを離れている者がふるさとを恋しく思う様子
(注3)帰省:ふるさとに帰ること

1。 (55)本文の要約として最も適当なものはどれか。