(3)パリの店で仕事をしていたとき、①困ったのは、お客様に「寿司はできな いの?」
「デザート(注1)はないの?」と聞かれたことでした。お寿司は、日本料理 とは修業(注2)が全然違うのですが、フランス人にとってみれば「日本レストランなのに寿司がないのはどうしてだー?」となるわけです。日本のイタリ アンレストランにピザがなくて叱られた時代もあったのでしょうが、② それと同じような感じでしょう。もちろんそれだけではなく、デザートのないレストランなんてヨーロッパにはあり得ませんから、寿司もデザートも一生懸命勉強 しました。その頃の努力は今とても役に立っています。世の中にムダな努力は 本当にないですね。
うちの店では、お椀の次は、「お凌ぎ」といって、小さなお寿司をお出します。
一貫だったり二貫だったりしますが、軽くお寿司を味わっていただきます。 これはひと区切り(注3)の合図です。料理の最後は( A )で終わるのですが、 途中で一回お寿司をお出しして、ここでとりあえず一段落。ちょっとお腹を落 ち着かせてもらって、ここからまたお酒を飲みましょうという気分に持って行 きます。
(注1) デザート:食後に出される菓子や果物
(注2) 修業:技術を習って身につけること
(注3) ひと区切り:ひとまずの切れ目