(2) 子供に食事のマナーを教えるときは、 “〇〇すべきである”“〇〇しなくではな らない” というように、自分の考え方を押し付けるのでは子供たちは納得しません。子供 たちは、「美しい食べ方をしていると、人から“すてきだ” とか“かっこいい” とか思われる」という経験を通して、美しいマナーの意味を納得するのです。
それには、家庭や学校などの集団の中で、子供自身に自分のありようを意識させること です。そして、きれいで美しい食べ方ができたときには「きれいに食べられた ね」「かっこよく見えるよ」とほめてあげましょう。 子供はほめられたことで「またこのようにしてみよう」と思います。こうして
(中略)美しいマナーが習慣となり、その場に応じた美しい自己のふるまいを身につけていくことができるのでしょう。 ところで、皆さんは食事のマナーが成立するには“他者との関係” が不可欠であることにお気づきでしょうか。 人は人前で食事をするとき、一人で食べるよりもそれなりに整った食べ方をしようとするものです。それは「自分をよく見せない、人からよく見られたい」という気持ちが根底にあるからです。だから食事のマナーを身につける必要性が自然に生ずるのです。
一方、一人で食事をとるときは、食事のマナーを感ずることが少ないのではないでしょうか。近頃の家庭の多く見られる“子供の独食” は、子供に適切なマナーを身につけさせるという意味においても考慮すべき問題であるといえるのです。