(3)実は私は
携帯電話を持ったことがない(正確にいうとわたし
名義(注1)の携帯電話はあるが、それは娘がもているので、娘に急用があるときに自宅の電話から呼び出すだけだ。)小説書きにとって、携帯電話なんてもっていたら自殺行為である。だからもたないのだが、娘が買ってきたとき、彼女は
付随し
(注2)てきた①
マニュアルの厚さに驚いていた。つまり携帯電話というのは単なる電話機能だけではなくて、いろいろなことができるらしいのである。
なるほどTVのコマーシャルなどをみると携帯電話の画面でゲームに夢中になった娘さんが、ビールを注ぎこぼしてしまう、というのがあった。電話機でゲームなんか、どうやってやらなければならいんだろう。そんな厚いマニュアルがついている携帯電話に、どうしてさらに世界最小のデジカメ
(注3)で写した写真を送る機能を付加しなくてはならないのだろう?みんなが事件現場の新聞記者というわけではないのに。
同じ小型カメラといっても、あまりロマンチックじゃない気がするが、今の若い世代にはこれが十分ロマンチックなのかもしれない。②
そういうことを否定する気はない。
(三木卓「もう間に合っています!『母のキャラメル’01版ベストエッセイ集』」)
(注1)名義:その人の名前(所有しているものなど)
(注2)付随する:それについているもの(注3)デジカメ:デジタルカメラ