(4)人間のもっとも人間らしいところは、それぞれが「自己」をもつことです。「自己」とは、自分がこういう人だ、自分はこれがしたい、これは自分らしくない、などといった、私たちが持つ自分についての意識(いしき)をいいます。これは人間だけがもつものです。この自己が、私たちの行動やくらし方を選んで決めています。時には他人からみると、気がしれない(注1)と思われることもあります。それを「たで食う虫も好き好き(注2)」と認め合うのだといえましょう。

(高橋恵子『自立への旅立ち「新版」』岩波書店)

(注1):気がしれない:気持ちがりかいできない
(注2):たで食う虫も好き好き:人によって好きなことが違うこと

1。 (58)ここでいう「自己」とは何か。