(2)ぼくは、子供の頃から、たいへん、ひとみしりをする(たち)(注1)で、ひと前に出るよりは、ひとりきりで(注2)いた方がいい。学校の教室などでも、ハイ、ハイ、と手を上げて、われ先に(注3)自分の意見を言える子どもたちを見ても、ぼくにはとてもあんなふうには真似(まね) ができない。だから、自分のことを、なかなか他人に伝えたり、わかってもらえなくて、悲しい思いや、傷ついたりするこ も多く、ああ、なんてぼくはそんな性質に生まれついたんだろう、と()()腹立(はらだ)たしく、くやしく思ったことも一度ならずあった。

(大林宣彦『きみが、そこにいる』PHP研究所)


(注1)(たち):性質、性格
(注2)ひとりっきり:ひとりだけで
(注3)われ先:ほかの人より自分が先になって

1。 (56)「 ひとみしりをする(たち)」とあるが、どんな性格か。