(前略)われわれのほば全員が、人間同士の交流のなかには愛や友情、暖かみや繊細さとともに、嫉妬や悪、憎悪や無視などが存在するということを、実感として知っている。家庭でロボットに心の慰みを求める人は、ロボットのなかにむしろその人にとって最も「人間的な」魅力に溢れた対象を仮託し(注1)、投影して(注2)いるのだ。それは人間と直接向き合おうとする気持の放棄ではあるだろうが、逆にいうならそれは、人間の魅力に()きつけられるという気持をその人がまだもっているという事実の表現でもある。

(井山弘幸・金森修「現代科学論科学をとらえ直そう』新曜社による)

(注1)仮託する:(ロポットの)形を借りて表す
(注2)投影する:(ロボットに)映し出す

1。 (49)画筆者はロボットに心の慰みを求める人についてどのように述べているか。