誰もがいつか自分が老いることを知識としては知っている。ならば、老いない、ように努力すればよさそうなものだが、そのような人はほんの一握りで、多くの人は老いなどというのは遠い将来の話だと考えている。速く歩けなくなったり、人の名前が思い出せなくなったりしたぐらいでは、自分が老いたとは認めたがらない。人の手を借りないと生活できなくなってはじめて、老いを実感するのである。①老いを現実のものとして受け止めることの難しさはそこにある。

1。 (48)①老いを現実のものとして受け止めることが難しいのはなぜか。