故寺田寅彦てらだとらひこ氏の有名な指摘に「①学者は馬鹿でなければならない」というのがある。頭が良い人は何か新しい研究を始めようとっても、その前途にある困難さや障害や行き詰まりが見えてしまう。そこで成果が挙がるはずがない研究などは、やる気になれない。しかし、手前からはどう見ても行き詰まりになっているはずの道でも、そこまで行くとふいと右へ行く道がついているのを発見したりするように、どんな賢い人間でもやって見ないとわからぬところが多いものだ。

(会田雄次「日本人材論指導者の条件」講談社)

1。 (1)①学者は馬鹿でなければならないのはなせか。