どんなささいなことがらについてでも、それを愛し、そのことについて調べたり、試したりしている一群の人々が必ずいる。そのような人々は通常、地球上の各地に散在してそれぞれ日々の暮らしを送ってはいるのだが、やはりそのことについてのこまごました情報やささやかな発見を、ときに交換したりひかえめに自慢したくなるものである。そこで人々は、ウェブが発達するずっと以前から、
様々な方法によってお互いの存在を知り、定期的に集うことを約束しあった。人々は、そのことが好きで、ずっと好きであり続け、そして①
小さな縦穴を深く掘り続けている、という点だけを共有している。
(福岡伸ー『世界は分けてもわからない』講談社)