いまの日本社会では、万一事故が起こったときに、管理者が徹底的に責められる風潮があります。その意味では、安全対策が「危険の管理」ではなく「危険の排除」の方向にいってしまうのは自然の流れかもしれません。
 本当に管理がいい加減である場合は責められても仕方がないと思いますが、被害者自身が禁止行為や予想外の行動をしていたり、原因が想定外ないし未知の問題であったりするときなどは①違います。こういうケースでは、設計者や管理者が失敗の経験を生かし、危険を制御する方向で安全対策を見直すことが社会の利益にもなります。

(畑村洋太郎「危険不可視社会よ講談社)

1。 (1)①違いますとはどういう意味か。