私企業の主導的原理である「自己利益の追求」に衝き動かされて馬車馬のようにさんざん働いた親の世代を見て、今の若者は「彼らは結局のところ幸せだったのか」と問い直し、そうした生き方を考え直そうとしている面が確実にある。「不況の中の豊かさ」とも言える不思議な環境を享受する、ある意味で幸運な時代に生きているからこそ、若者は「何らかの活動を通じて自分なりに何か生きがいを見つけたい」「人とつながることによって喜びや充実感をともに感じたい」「だれかの役に立っことによって自分自身の居場所を見つけたい」という願望を実現できる可能性を感じとっている。①
こういう意識が若者を、広い意味のボランタリーな活動
(注1)に向かわせているのだ。
(丸楠恭一、坂田顕一、山下利恵子「若者たちの《政治革命》組織からネットワークへ」中央公論新社)
(注1)ボランタリーな活動:参加者が金銭的な報酬なしで協力する活動。募金活動や福祉活動のことが多い。