人間は"私"の身体は周囲の自然から独立したものだ、と思っている。"私"の皮膚ひふ)から外の世界は他者だ、と思っている。しかし、これは人間の個体意識が作りだした大きな錯覚だった。
 人間の身体は、もともとすべての自然、すべての生命とつながったものだ。"私"はもともと"我々"だったのだ。科学技術を進歩させる過程で人間はそのことを忘れかけていた。しかし、宇宙飛行士たちは、科学技術の進歩の最端で、逆に①そのことを思い出し始めている。

(龍村仁「地球のささやき講角川学芸出版)

1。 (1)①そのことは何を指しているか。