一時期、コンビューターがどんどんすすんでいけば、脳を上回る機化を持つようになるのでは、と思われていました。 たしかに、チェス(注1)でコンビューターが人間の名人をうち破るなど、コンビューターが人間の能力を超える場面も出てきました。
 ならば、このままコンビューターが進化を続ければ、人間の脳を超えてしまう日がくるのでしようか。
 ①(  )。いくら記憶の量とか、計算速度でコンビューターが圧倒的にリードしていようと、それだけでは人間の脳を超えることは決してできないことがわかってきています。
 脳とコンビューターの一番大きな違いは、脳は変わりつづける存在であるのに対して、コンビューターは変化しないということです。
 脳は、新しい情報を効率よく処理するために、それ自体をどんどん変化させていきます。入ってきた情報に対して、脳のネットワーク、つまり、脳神経細胞のネットワークが変化していくのです。②脳の存在の目的そのものが、脳の中のソフトウェアの書き換えであるようにも見えます。
 一方、コンビューターは決められたソフトウェアにそって、入ってきた情報に順番に反応して、結果を出します。入ってきた情報にして、コンビューター自体が変化することはないのです。
 コンピューターはいくら使っても処理速度が速くなることはありません。性能をアップするにはCPU(注2)を取り替えるしかありません。しかし、脳は使うごとに脳の中のアルゴリズム(情報処理の方法)が変化し工いきます。脳は使えば使うほど、より状況に応じた答えを出しやすくしていくのです。
 脳は他人の顔を非常に速いスビードで認識して、誰だか思い出すことができます。そのスビードには、いまのスーパー・コンビューターをもってしても追いつけません。もちろん、似た人に反応してしまったりして、脳の精度が落ちることもあります。しかし、だからこそすばやい応が可であり、危険があった場合はすぐにそれから身を守ることもできるのです。
 頭をよくするには、やはり頭をどんどん使うことが重要といえるでしよう。

(米山公啓「もの忘れを防ぐ28の方法」集英社)

(注1)チェス:西洋のゲームのひとつ。日本の将棋(しょうぎ)に似ている。
 (注2) CPU: central processing unitの略。中央処理装置。コンビューターの中枢部分に当たり、さまざまなプログラムを実行する。

1。 (2)②脳の存在の目的そのものが、脳の中のソフトウェアの書き換えであるの説明として適当なものはどれか。

2。 (3)脳とコンビューターを比較した結果について、文章の内容と合うものを選びなさい。

3。 (4)筆者の考えに合っっているものをびなさい。