世界的な経済不況の中で、今、企業は収益を拡大するために何をなすべきかを模索している。自国での需要の拡大が期待できない先進国の企業の多くは、新興国へ進出することに活路を見出そうとしている新興国での需要を生み出すためには。まずその国の国民の購買意欲を促進しなけれげならないのは当然であるが、それには①新しい文化の定着が必要だ。例えば、歯磨きの習慣がない国で歯ブラシなどの歯科衛生用品を扱う会社が成功するには、「歯を磨く」という行為が健康にとって重要であると人々に認識され、②歯磨きが実行されるようになることが不可欠である。つまり、企業が新興国でのマーケット戦略 (注1)を立案する際には、単に自国の経済性や利便性を追求するだけではなく、新興国の人々に幸福をもたすべきという視点を持つ必要がある。アメリカの大企業に(たん)を発した (注2)世界的な不況は、企業や個人が目先の利己的 (注3)な経済性のみを追求した結果だと言えるのではないだろうか。最先端の計算技術を駆使(くし)して (注4)開発された金融商品は、結果として何を残しただろう。我々は、世界経済の建て直しを図ろうとする今、③本当に大切なものは何なのかということを自問しなければならない。
(注1)マーケット戦略:市場で成功するための方法
(注2)(たん)を発する:始まる
(注3)利己的(な):自分の利益だけを考える
(注4)駆使(くし)する:自由に十分に使う

1。 (1)ここで言っている①新しい文化の定着とは、具体的にどのようなことか。

2。 (2)②歯磨きが実行されるようになることが不可欠であるのはなぜか。

3。 (3)筆者がここで③本当に大切なものとして言いたいのはどんなことか。