ラグビーやバスケットなどのボールゲームにくらべて、サッカーは1試合あたりの得点が非常に少ない競技です。 2対ー1対0など一点差のゲームが多く、ドロー(注1)での試合終了も珍しくありません。ボールゲームの面白さはなんといっても得点の場面ですが、サッカーは試合をする90分の間に数回しか見ることができません。競技によっては、試合を面白くするために、得点が入りやすくなるようなルール改正がおこなわれますが、サッカーにその(きざ)しは見られませんし、見る側も①それを求めたりしません。
(中略)
 点がなかなか入らないシステムでは、場合によっては強いチームが負ける可能性が残されています。これはサッカーの魅力のひとつです。優れているほうが勝ち、劣っているほうが負けるというのはスポーツの大前提で、それはサッカーにももちろんあてはまります。でも、②そうはいかない結果も起こりうるというのが面白いのです。
 サッカーだって、もっと得点が入りやすい競技にしようと思えばいくらでもできます。フィールド(注2)狭くしたり、プレーヤー(注3)の数を増やしたり。しかし、プレーヤーも観客も、③1点の重みと、場合によっては何が起こるかわからない、奇跡(きせき)(注4)のようなことが起こる、それゆえの面白さを理解しているのです。

(稲垣正活「初耳だらけのオリンピックびつくり観戦講座」はまの出版)

(注1)ドロー:引き分け
(注2)フィールド:竸技場
(注3)プレーヤー:選手
(注4)奇跡(きせき):信じられないような素晴らしいこと

1。 (1)①それは何を指しているか。

2。 (2)②そうはいかない結果とは、どんなものか。

3。 (3)③1点の重みとは、どのようなことだと考えられるか。