(3)以下は、商品パッケージのデザイナーが書いた文章である。
 大量生産品のように全国に流通し、 多くの方々にご利用いただく商品の場合には、必ずマーケティング調査 (注1) が行われます。 とくにパッケージのリニューアル時には、従来よりも売り上げを落ちてしまっては大変なので、より慎重に行われます。
 ただそういう場合、必ず「今までの方が良かった」という意見が過半を占めます。ですがメーカーにとっては、定番となっている商品をどうしてもリニューアル (注2)しなければならないタイミングが必ずやってきます。 それは、競合他社が売り上げを伸ばしたり、技術開発に伴い商品そのものが改善されたり、いろいろな理由でそれは必ずやってくる。 ところがマーケティング調査してみると 「変えない方がいい」という結果が出てしまう。 今までのファンはその商品に愛着をもっているわけですから、リニューアルに大賛成してくれるわけがないのです。 ですが、どうしても新しくしなければならない。
 私はこういった時、これまでの財産をうまく生かして、今までのファンがある程度を許容してくれれば、それは大成功だと考えています。 最初は少し許せない部分があったとしても、 これが一年、二年経つと、新しいデザインも見慣れてくる。 したがってマーケティング調査の数字は、そういう時間軸も考えたうえで見る必要があります。
(注1) マーケティング調査: 市場調査
(注2) リニューアル: ここでは、 更新

1。 (53)こういった時とは、どのような時か。

2。 (54)マーケティング調査の結果について、筆者はどのように考えているか。