(2)
 これまでずいぶんたくさんアニメーションを作ってきましたが、しかしなかなか未だに巧くアニメーションを作るのは難しく、大変です。いつもどう作ったらよいのか、作り始めてからもとまどってしまうのです。しかし少しずつ形になってくると、ふつふつと(注1)楽しくなってくるのです。そしてできあがってきたイメージと自分の頭の中のイメージとの、一致とズレを近づけたり、遠ざけたりするために、たくさんの作業を積み重ねて、最後には、どこかであきらめを付けて、終わりにします。
 ただその時には終わったと思っても、少し時間を置いてみると、もう少しこうすればよかった、ああすればよかったと、後悔ばかりが浮かんできて、自分のアニメーションの上映会に立ち会う時は、いたたまれない思いがします。アニメーションに限らず、クリエーター(注2)は多かれ少なかれ、ただ楽しいばかりではなく、こんな思いをしながら、次こそは自分のベストを形にしようと、日々まるで「修行」のように物作りに追われていくのではないでしょうか。いつかは、この魔物から逃れて、心安らかな日が訪れるのを夢想しながら。
(中略)
 現実世界には、辛いことや思いどおりにならないこともたくさんありますが、創作活動の中、精神の世界で自由に羽を伸ばせる時、そこには他のいろいろな楽しい娯楽では味わえない深い喜びがあり、それがこの魔物から逃れられない理由のひとつです。
 そして、言葉にはできない価値観をうまく作品として整えられた時、それは人の反応や評価を超えた、絶対的な充実感を与えてくれるものと信じています。 
(注1)ふつふつと:心の中からわいてくるように
(注2) クリエータ 一: 創造的な仕事に携わっている人

1。 (52)筆者にとって、アニメーションを作る作業とはどのようなものか

2。 (53)この魔物とは何か

3。 (54)創作することについて、 筆者の考えに合うのはどれか。