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巻によくある料理本について、私がかねがね不満に思っていたことがある。
それは、たとえば炒飯ならば、一、フライパンを熱する。二、大さじ二杯のサラグ油を入れる。三、溶き卵を入れる。・・・・といった感じに書かれていることが多くて、なぜそうするのかが書かれていないのだ。なぜフライパンを熱してから油を入れるのか。なぜ溶き卵をこのタイミングで入れるのか。私は、そういうことが知りたい。型というかマニュアルが欲しいのではなく、その型が生み出された基本原理が知りたいのである。
基本原理さえつかめれば、これは他にも広く応用が利くので、後々役立つ度合いが大きい。個別の型だけを学んでも、それは他のことに応用できるのかできないのか判断がつかないし、応用したとしても、その範囲はかなり限定されてしまう。そして何より、ただ誰かの作った型に理由もわからず無自覚なまま従っていること自体が、私にはとても気持ちが悪いのだ。
(中略)
型というものは、それを考案した人自身に最も必要だったものであって、必ずしもすべての人に有益とは限らない。真に学ぶとは、誰かの型をコピーすることではなく、そこからエッセンスを抽出して、自分に合ったやり方を生み出すことではないだろうか。
マニュアルを使うことに慣らされた現代だからこそ、白紙の状態から必要なやり方をその都度見つけ出せるような人間を育てていく必要があるのではないかと、私はいろんな場面で思うのである。