(1)
 中等教育(注1)で、生徒たちはいろいろな科目でさまざまな分野の知識に触れていきます。
 どのような知識でも必ず前提となる世界観や物事の枠組みがあり、そうした背景なくしては該当する理論や見識が成り立ちません。
 生徒たちは、それぞれの科目で分野ごとの専門知識に触れていくことによって、前提とされる世界観や物事の枠組みを、自分の世界観や考え方の一部として固定化させていきます。
 つまり、学習を進めて、専門知識を身につければつけるほど、前提とされる価値観や枠組みに縛られていくことになるのです。
 一方で、技術革新やグローバル化により、社会の仕組みや共通認識が、目まぐるしく変化する中、現在の自分の世界観から飛び出して、他の価値観を理解する力が必要とされています。
 哲学の営みの中核は、物事の根本や前提を問い直して、考察することにあります。
哲学の営みに親しむことで、現在のものの見方や考える枠組みから自分を解き放ち、急速に変化する社会の中で、揺るぎない(注)自分の価値観を模索していく力を身につけることができるのです。
より深いレベルでの学習が始まる中等教育においてこそ、より柔軟な「哲学する力」を養い始めることが必要とされているのです。
(注1)中等教育:中学、高校での教育
(注2)揺るぎない:強固な

1。 (49)筆者によると、中学や高校でさまざまな知識に触れていくと、どうなるか。

2。 (50)筆者によると、何のために「哲学する力」が必要か。