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何かを決定するときに、人はその決定を裏付けるような条件を求めたくなるものです。「確実に儲かるとわかった時点で商売をしよう」「独立が成功する目算が立った(注1)時点で会社を辞めよう」というように、成功するための条件が揃ったら決断しよう、動き出そう、と考えるものです。
しかし、現実には自分が知りたいと思うことを全部知ることはできませんし、必要だと思う条件が完全に揃うことは絶対にありません。
欲しいと思っている情報や必要だと思っている条件が整わないうちに、動き始めなければならないのが決断の常なのです(注2)。
決断ができる人はそれをわきまえていて(注3)、条件が不足していることを自覚(注4)しながらきちんと決めていきます。この「条件不足を自覚しながら決断する」というのが大事なところなのです。
一方、決断のできない人に限って、条件が整わないことを言い訳にしたがる。たとえ十そろ分な条件が揃っていても、まだあれこれと不足の条件を並べ立てようとします。
常に条件が不足する中で決断するコツの一つは目標を持つことです。
「自分が何をしたいのか」「どうなりたいのか」「どうありたいのか」というビジョン(注5)を持つのです。目標を設定し、そこに向かう方向性をいつも意識していれば、条件が不足していても決断ができるはずです。
(注1) 目算が立つ: 見通しがつく
(注2) 〜の常だ: ここでは、〜というものだ
(注3) わきまえている: わかっている
(注4) 自覚する: ここでは、 自分で認める
(注5) ビジョン: 将来のイメージ