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ナスやトマトは人間が栽培するときも、何日間か水を与えず、そのあと、たっぷりの水を与える栽培方法がとられることがあります。水を断つ(注1)のですから、その時期と期間を間違えば、植物は枯れてしまいます。でもこれは、①根の性質を考えると、納得できる理論です。
成長する芽生えは、毎日、水をたっぷりと与えられると、根をあまり発達させません。根を発達させなくても、水が十分に得られるからです。逆に、水が不足すると、植物は水を求めて根を張りめぐらせます。何日間も水が与えられないと、植物は根を強く長く張りめぐらせる(注2)のです。
根を強く長く張りめぐらせた植物に、水が与えられると、この根が水をいっせいに吸収します。
(中略)
「多くの水が一気に吸収されて、果実が大きくなると、果実が水っぽくなって、甘みや旨みが少ない果実になるのではないか」との心配があるかもわかりません。
しかし、②心配はいりません。根が水を吸収する力が強くなると、養分(注3)もよく吸収され、葉が大きく展開し、光合成(注4)が十分にできます。だから、甘みや旨みのもとになる物質も多くつくられるのです。

(注1) 断つ: ここでは、与えるのをやめる
(注2) 張りめぐらせる:広く張る
(注3) 養分: 栄養となる成分
(注4) 光合成:ここでは、植物が光を使って栄養となる成分をつくり出すこと

1。 (59) ①根の性質について、筆者の説明に合うのはどれか。

2。 (60) ②心配はいりませんとあるが、なぜか。