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以下は、ある将棋のプロが書いた文章である。
将棋の世界には、「不調も三年続けば実力」という言葉があります。
自分自身が「自分には実力があるが、今は調子が悪いだけだ」と考えていたとしても三年も、結果を出せなければ、それが本人の持っている実力である、という結構シビアな(注1)言葉です。
仮に、不調の原因が現在の能力、実力であれば、自分の努力や練習が足りないということなので、頑張ってスキル(注2)や能力を上げ、実力をつければいいということになります。新しい戦法を勉強するなど懸命に努力をして、基本的な力を身につけるしかありません。
しかし、どのような物事でも、今日一生懸命やったからといって、明日すぐに結果が出るということはありません。やっていることは間違っていないし、方向性も正しい。それでも成果が出ていないときこそが、「不調」ということになります。
そのようなときは、まず気分を変えることです。どうしてもモチベーション(注3)が下がりやすくなっているので、気分転換を図る(注4)。つまり、何かを変えてみればいいということになります。これは本当に何でもいいのです。
ただし、調子は悪いので、いきなり大きなことではなく、小さなことから始めるのが良いでしょう。
たとえば、今までの生活習慣を変えてみる。早起きをしてみる、新しい趣味を始めてみる。あるいは服装を変えて、気持ちを切り替える。何でも良いのですが、生活の中にメリハリ(注5)をつけて、気持ちが行き詰まらないように、落ちないようにするのです。
(注1) シビアな: 厳しい
(注2) スキル: ここでは、技術
(注3) モチベーション: やる気
(注4) 図る: ここでは、する
(注5) メリハリ: ここでは、変化

1。 (57) そのようなときとはどのようなときか。

2。 (58) 筆者によると、 不調のときはどうすればいいか。