みんながいやな感じをもつことが、生物学的に意義あることはしばしばある。早い話が、人間の遺伝子がすべて同じになれば、病気にやられる時は、全人類がやられて、あっさり全滅してしまうだろう。ある病気に弱い人がいても、遺伝子が違うため生き残る人もいるのだ。ひとつの種の中でも、遺伝子の並びが多様だからこそ、生物は進化してきたのだ。
南米のアンデス山地ではじゃが芋が主食で、いろんな品種を保存して栽培している。異常気象でも、病気が出ても、一部の品種は実を結び、餓死は避けられる。米でも表でも、多くの品種が保存してあれば、あたらしい病気がでも、交配によって病気に強い新品種をつくれる。
いくらバイオテクノロジーが発達しても、人間があたらしい高等生物をつくるということはまず不可能だ。それなのに、環境破壊によって、ある推定によれば、全世界で毎年1000種の生物が絶滅しつつあるのだ。これを止めなければ、人類は滅亡への道を辿るこどになるのだろう。