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 そもそも(注1)大人が「夢」を子どもに問うとき、「高い目標に向かって突き進め、そして放ず成功しろ」という期待を押しつけている感じがします。「夢=成功すること」になってしまっている。そういう大人の意図を、子どもは敏感に察知します(注2)。高い目標を目指すことはいいことですが、そればかりでは子どもは疲れてしまいます。(中略)
本来、「夢」という言葉は、もっと広い意味のはず。「職業」だけでなく、「どんな人間になりたいか.」「どんな暮らしをしたいか」という願いも含んでいます。「友だちを裏褒切らない人間になりたい」「自然に囲まれて暮らしたい」といった夢だっていいのです。そのほうがずっと具体的で、その子が今持っている思いや願いや時には(注3)悩みを含んでいることだってあります。
 「夢は何?」という問いへの子どもの答えにもっと耳を傾け、深く掘り下げて語り合いましょう。子どもが語る「夢」に含まれる、小さなつぶやきや(注4)、表に出てきづらい願いを、無視しないでください。たとえば、「子どもを産んで、幸せな家庭を築きたい」という子どもの夢には、今の家庭への不満や将来への不安が隠れているかも知れません。親子で夢について深く語り合うことで、子どもの気持ちがよくわかってきます。子どもの答えの背景(注5)にどんな思いや願いやあこがれが込められているのかを、読み取ってあげませんか。
(注|)そもそも:ここでは、普通
(注2)察知する:気づく
(注3)時には:ある時は
(注4)つぶやき:ここでは、思い
(注5)背景:ここでは、後ろ

1。 (63)大人が子どもに夢を問うときの問題点について、筆者はどのように述べているか。

2。 (64)筆者が最も喜いたいことは何か。