短文
(1)
 恐い、恥ずかしい、淋しい、腹が立つ(注1)、などなどは、不快な感情ではありますが、単に取り除かれればよいもの、存在しなければよいものではありません。それらが一切(注2)存在しない理想の人生があると考えるのは間違いで、それらには存在する理由があるのです。どんなに悪まれた人生でも、恐いことはありますし、恥ずかしいこと、淋しいこと、腹が立つことはあります。むしろそういう感情があることが豊かな人生だとさえ言えます。
(注1) 腹が立つ: 怒りを感じる
(注2) 一切: 全く

(52) 筆者の考えに合うのはどれか。

短文
(2)
以下は、ある店でもらったちらしである。

オリジナル帽子店「マリー」
期間限定・特別ショップのお知らせ


 このたび、4 月 1 日から 15 日までの期間限定で、南野デパートに特別ショップを開店いたします。
 特別ショップでは、通常の商品に加え、春の新商品を販売いたします。
春の新商品のうち、「花」シリーズは、特別ショップのみでの販売となりますので、
 ぜひこの機会にご来店ください。
なお、そのほかの春の新商品は、4月16日から「マリー」各店でも販売を開始いたします。

(53)「花」シリーズを買いたい場合、どうすればいいか。

短文
(3)
 「適度に暖かく、発芽(注1)に使える水があり、呼吸もできるという条件がそろえば、多くの植物のタネは発芽する」と思われがちです。しかし、実際には、そうではありません。多くの植物のタネは、発芽の三条件がそろったからといって、うかつに(注2)発芽しないのです。
 なぜなら、発芽の三条件の中には、「光が当たること」という条件が入っていないからです。もし、光の当たらない場所でタネが発芽すれば、発芽した芽生え(注三)がどんな運命をたどるか(注4)は、容易に想像がつきます。
(注1)発芽:芽を出すこと
(注2)うかつに:ここでは、簡単に
(注3)芽生え:ここでは、芽
(注4)どんな運命をたどるか:ここでは、どうなっていくか

(54)本文の内容に合うのはどれか。

短文
(4)
以下は、ある会社の社員が、別の課の社員に送ったメールである。
宛て先:shinji_yasumura@yuukibuitynntamei.co.jp
件名:「何でもハサミ」のミラ商会への納品について
日時:4月30日11:55
商品管理課安村様

お疲れさまです。
 6月15日発売の「何でもハサミ」の件ですが、ミラ商会の担当者から連絡がありました。価格についての間題は解決しましたが、納品数については、最初の予定の50本ではなく、
80本に変更してほしいとのことです。
 今週中に返答しなければならないのですが、今から30本増やすことは可能でしょうか。
納品日は5月20日で、変更ありません。
こ検討よろしくお願いします。

営業課大森

(55)このメ ールで問い合わせていることは何か。

短文
(5)
 仕事でも、人生でも、ようは(注1)降り掛かる(注2)間題をいかに(注3)解決していくか、という作業の繰り返した。ある人は問題から逃げる。これも、その人にとっての解決である。しかし、そういう人は逃げ続けなければならない。一度きちんと解決をした人は、同じ問題に遭遇したときに対処できる。このようにして、スキル(注4)が上がっていき、その後得をするだろう。
(注1)ようは:大切なことは
(注2)降り掛かる:ここでは、自分に起きる
(注3)いかに:どうやって
(注4)スキル:能力や技術

(56)筆者の考えに合うのはどれか。

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(1)
 もの心つくかつかないかというころの子供(注1)は、まだ言葉では表現できない自分の感情や欲求を、何らかの方法で吐き出そうとする。身近に鉊筆やクレヨンなどがあれば、そこらに何かを描きなぐる(注2)のもその一つだ。注意深く見ていると、その段階ですでに、絵の好きな子は、絵らしきもの(注3)を描き始めている。そこですぐ、「あ、この子は絵が好きだ。画家にしょう」と考えるのは早すぎるが、大事なことは、「部屋がきたなくなる。そこらを汚す」といって、子供の遊びをやみくもに禁じて(注4)しまわないことだ。
(中略)
 絵を学ぼうとして大学にまで来た人たちは、子供のときに両親から、絵を描くことを禁じられなかった人たちであることは確かである。画家になりたい、自分の芸術を発見したい、というところまでこぎつけた(注5)。この人々にとって、あとは自分自身の問題だ。調子よくいったときにどう考えるか、不調のときにどうがんばるか。ただ、私はやはり、彼ら自身も、教える方としても、いやな勉強を無理に続けたり押しつけたりしても、いい結果は得られないと思う。人は、いやなことをさせられれば、早くそこを通りすぎようとばかりするが、自分から喜んで、遊び心をもってやることはよく身につき、蓄積されていくものだ。
 楽しく、遊び心でというのは、楽をするというのとは違う。それ自体は非常に苦しいことでも、自分を一段高いところへ進ませてくれるものだと、どこかで信じていれば、楽しくもなる。
(注1)もの心つくかつかないかというころの子供:ここでは、幼い子供
(注2)描きなぐる:乱暴に描く
(注3)絵らしきもの:絵のようなもの
(注4)やみくもに禁じる:よく考えないでやめさせる
(注5)こぎつける:到達する

(57)筆者によると、親は何かを描こうとしている子供にどう接したらいいか。

(58)絵を学ぶ人に対して、筆者が言いたいことは何か。

(59)①危険とあるが、どのような点が危険か。

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(3)
 以下は、企業の経営者に向けて書かれた文章である。
 ①長く同じ活動を行ってきた組織には、安定的な動きができるという長所があります。ところが、こういう組織には同時に、ある一つの方向からの固定的な見方しかできないという欠点もあります。この欠点はなかなかやっかいなものです。こうした見方が組織内に一度根づいて(注1)しまうと、なかなか変えることができない難しさがあるからです。よそから見れば危険極まりない(注2)状態なのに、組織の中では誰もそれにまったく気づかないということが起こるのはそのためです。
 これは②組織を支配する「気」が原因です。言葉を変えると、囲まれた本人は気づいていない、空気や雰囲気、あるいは文化といったものといえます。企業のように独特の文化を持つ組織の中では、これが原因で気に囲まれた人々が等しくおかしな見方をしてしまうことがよく起こります。組織の中でふだんから慣れ親しんでいる価値観が、いつの間にかその人たちの価値観になってしまうのです。
 この状況を変えることができるのは、じつはトップだけです。トップがやらなければならないのは、組織全体を包んでいる「気」に惑わされない(注3)ことです。そしてできれば見たくないものを逆にしっかりと見るようにして、事業の全体像を正確に把握する(注4)ことです。その上でしっかりと価値付けを行い、組織の人たちが正しい方向に動けるように戦略を示すことができたら、いつの時代も最高の力を発揮できる組織をつくることができます。
(注 1) 根づく: 定着する
(注 2) 危険極まりない: 非常に危険な
(注 3) 惑わされる: 迷わされる
(注 4) 把握する: しつかりと理解する

(62)①長く同じ活動を行ってきた組織について、筆者が挙げている問題点は何か。

(63)②組織を支配する「気」とはどのようなものか、

(64)筆者によると、トップに求められることは何か。