以下は、雑誌のコラムである。

日本の家の寿命



もし家を建てるなら、どんな家がいいですか。もちろん長く住める家がいいですよね。日本で町を見渡してみると、頑丈そうな建物が並んでいます。ところが、ある調査によると日本の家の平均寿命は、英国77年、米国55年に比べて短く30年ほどだそうです。(50)結果になったのでしょうか。
原因の一つに、戦後の日本の特殊な住宅事情があるようです。第二次世界大戦後、日本では、家不足が深刻だったため、質より量を優先させて家が作られました。しかし、経済が成長して生活に余裕が生まれると、人々はより質の高い家を求めるようになります。そこで、それまでの家は次々に(51)そうです。その結果、町には、今のような頑丈そうな質の高い住宅が立ち並ぶことになったのです。
また、日本人の住宅観も原因として(52)。日本には、家はそこに住む家族に合わせて建てるという考え方があります。たとえば、将来子供が生まれ家族が増えることを考えて建てた家も、子供が成人して独立してしまうと、夫婦二人だけの生活には合わなくなります。そのため、年をとった夫婦ためには住むのに適した家へと建て替えるのです。そんなふうに家族の形が変わったとき、今まで住んでいた家を建て替えることも少なくないそうです。
(53)、日本では家を建て替えることが多いために、家の平均寿命が短いという調査結果になったのだと思います。平均寿命30年というのは、30年で壊れてしまうという意味ではないのです。もし皆さんが、自分のために、家族のために、日本で家を建てるなら……どんな(54)。

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以下は、留学生が日本事情について書いた文章である。

日本における米食の変化


ヨハンソン ダグ


 日本食というと米の印象が強く、私は、日本人は米を一日三食食べていると思っていた。ところが日本に来てみると、( 50 ) ので驚いた。
 ある調査によると、1960年の日本の米の消費量は一人当たり年間約120キロだったが、2010年は約60キロだったという。この50年で米の消費量が半減したわけだ。けれども、50年で一日の食事の回数や総量が半減する( 51 ) 。では、どのような事情で米の消費量が半減したのか。
 それにはいくつか( 52 ) があるようだ。その中で私が取り上げたいのは、食の多様化だ。1965年ごろから日本では様々な食物を輸入するようになり、米以外にパンなどを主食としてよく食べるようになった。また、1960年から2010年の50年で、肉の消費量は約5倍に、乳製品は約4倍に増えた。こうした変化の中で、相対的に米の消費量が減少したのだろう。
 食の多様化自体は、食卓が豊かになるのだし悪いことではない。( 53 ) 、食の多様化に伴う問題も起きているようだ。日本では昔から米や野菜がよく食べられてきたため、日本人の体はそれらの消化に適しており、肉や乳製品の消化が苦手だという。食の変化によって病気になる人も増えているそうだ。日本人が守ってきた伝統的な食文化は、日本人の健康を支えていたのだ。
 私の国の食文化も私たちの健康を支えてくれていたのだろうか。日本に来て、その土地に生きる人と食文化とのつながりについて( 54 ) 。

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 私は20歳になるまで雪を見たことがありませんでした。私の国は一年中暑くて、雪は( 1 )降らないからです。だから、いつか日本に行って、雪を( 2 )と思っていました。
 去年、日本政府から奨学金をもらって、秋田大学で勉強することになったときは本当にうれしかったです。なぜなら、秋田県は東北地方にあって、雪がたくさん降る所として有名だからです。
 私が秋田へ行ったのは雪が最も多い2月です。初めて見る雪は白くて、軽くて、本当にきれいでした。そして、大学の先生がその時行われていた「かまく ら祭り」に( 3 )。「かまくら」は雪で作られた丸い家のようなものです。「かまくら」の大きさは高さ3メートル、直径3メートルぐらいで、大人が6人 ぐらい入れるものもありました。「かまくら」の中に入る前、こんな雪の中はきっと冷たくて寒いだろうと思いましたが、( 4 )ので、びっくりしました。 電気の代わりに、ろうそくの火が使われていて、とても心が落ち着きました。みんなでおもちを食べたり、甘酒を飲んだりして過ごしました。この日は長い間の 夢が実現してうれしかったです。また( 5 )、ぜひ行こうと思っています。

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 ある晴れた日に、私はふと紅葉のきれいな庭を見た。( 1 )、どこから来たのか汚い野良猫がじっとこっちを見ている。わざと乱暴に庭に降り立つと、野良猫はさっと小さい木の下に飛び込み、ずるそうな目で草の間からこちらをながめている。水をかけても、脅かしても、( 2 )。ちらちら雪が降るころにはその猫は( 3 )うちの庭に住み着いてしまった。私は、あきらめて、「庭だけよ、うちに入ってきたら、放り出すよ」と何回も言った。わかったのか、わからないのか、猫はそのまま庭から離れない。桜の花が咲くころに、猫は5匹の子猫を生んだ。( 4 )、2匹はすぐに死んでしまい、残されたのは3匹だけになった。子猫たちは毎日コロコロと日なたで、楽しげに遊んでいる。 親猫はと言えば、あいかわらず、( 5 )。

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 最近全国の消費者センターに悪質リフォーム工事に対する相談が数多くきています。これは、悪質なリフォーム業者に「このままでは、地震が来たら、大変なことになりますよ。今のうちなら、なんとかしてあげますよ」などと、( 1 )、不要な工事の契約をさせられてしまった、( 2 )というような相談です。契約をやめたいと申し出ると、悪質業者は自宅に来て「キャンセルするなら、キャンセル料を払え」とか「もう材料を用意した、その代金を払え」と( 3  )、契約を続けさせようとするのです。こうした場合は、営業マンだけでなく、( 4 )自宅に来て、何度断っても、しつこく契約を求めます。( 5  )、たいていの人は、したくなくても工事をすることになってしまうのです。消費者センターでは、悪質業者に来られて困っている人は、どんな場合でも、あきらめずに窓口で相談をしてほしいと呼びかけています。

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さまざまなロボット


掃除ロボットが開発され、家庭にかなり普及しているようである。初めは、値段の高いぜいたく品だと思っていたが、その働きぶりの実際をデパートで見て、ついに我が家も購入した。隅から隅まで時聞をかけて部屋を掃除する様子を見ていると、まかせておいて大丈夫だという安心感が持てる。(50)、高いところから落ちないように高さを測ることができ、何か問題が起きると音を出して知らせる。その音を聞くとロボットが「助けてー」と言っているようで、私は「はいはい」と答えてしまう。機械とわかっていても、コミュニケーションをとれるような気がして、答えずにはいられない。今まさにロボットが生活に入りつつある。
 これまでロボットに求められてきたものは、探査、組み立て、掃除、介護(51)労働を軽くする機能であったが、最近、人間の技術を伝えることができるというロボットが開発されたそうである。
 このロボットは、(52)をすべて分析して、書いた人と同じ字を書くことができるという。つまり、ロボットに字の書き方を教えてもらうことができるというわけである。このロボットを開発した人は、人間が長い年月をかけて身に付けた技術を伝えることに役立つロボットを目指している。
 (53)技術を伝えることを目的としたロボットが開発されたら、バイオリンの弾き方や寿司の握り方、ボールの投げ方など、手を使って行うすべての世界で、超一流の技をロボットに教えてもらえることになるであろう。しかし、いくらロボットが素晴らしいといっても、超一流の技を生み出すのは人間の仕事だ。やはり、技は人聞が自ら(54)。

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サクラが春に咲く不思議

 
 冬の寒さも緩み、春の陽気が感じられるようになってきました。春は花の季節。サクラをはじめ、ウ メやモモなど多くの木々が花を咲かせます。
 ところで、これらの花は、なぜ春に一斉に咲くのでしょう。花なんて暖かくなれば咲くものだと(50)。確かに、気温の上昇も重要です。ただ、皆さんは、春に花を咲かせる木がいつその準備をしているかご存じですか。(51)、開花する前の年の夏には、すでに花となる芽(花芽)が作られ、花を咲かせる準備ができているのです。そう考えると、春まで待って一斉に咲くというのは不思議ではありませんか。一体どういう仕組みなのでしょう。
 サクラやウメなどの木は夏に、成長を抑える休眠物質を葉で作ります。それが花芽にたまると、葉が落ち、花芽は「休眠」という期間に入ります。(52)花芽は成長しません。休眠から目覚めるには、一定の低温期間を経験することが必要です。「一定の低温期間」とはどれくらいかというと、それは花によって違うことがわかっています。例えば、サクラのソメイヨシノでは、5度前後の気温が約900時間(53)。そして休眠から目覚めると、成長を抑えていた休眠物質が減り始めます。それがなくなると成長が再開し、春になって、1日の平均気温が12〜13度になると開花するのです。
 春に一斉に咲く花の仕組み、(54)。冬の間、私たちは寒さが去るのを待つばかりですが、春に咲く花のためには、その寒さは必要なものなのです。

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あるニュースで次のような放送が流れた。
「コーヒーを⼀⽇3杯以上飲む⼈は、飲まない⼈に⽐べて、⼼臓病で死ぬ確率が3倍以上であることが、ある⼤学の医学部の(50)分かった。」
 このニュースを⾒た⼈のほとんどは、「カフェイン( ちゅう 注1)(原因)⇒⼼臓病(結果)という因果関係を想像した(51)。私たちの頭の中には、「コーヒー=カフェイン」というイメージが出来上がっているからだ。しかし、この調査では、砂糖が原因である可能性は、考えなかったのだろうか。コーヒーに砂糖を⼊れる⼈は多いあら、もしかしたら、カフェインよりも砂糖のほうが、⼼臓に悪い(52)。当分のと取りすぎが、太りすぎや、その他の健康障害を引き起こすことは、今では⼩さな⼦供でも知っている。つまり、「カフェイン⇒⼼臓病」を証明するためには、どうすればいいか。(54)、砂糖の影響の可能性を消す必要がある。まず、コーヒーを飲む⼈を、砂糖を⼊れて飲む⼈と⼊れず飲む⼈に分けて、それぞれ⼼臓病の割合を計算し、それから、コーヒーを飲まない⼈の⼼臓病の割合と⽐較するのである。
このように、他の影 響の可能性を打ち消した後でなければ、原因を決定することはできないのである。
カフェイン:kaffein (ドイツ語) コーヒーやお茶などにふくまれる成分。

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 以下は、雑誌のコラムである。

日本発のトイレマーク
 公衆トイレの入り口に描かれている男女の絵のマーク。そのマークがあれば、文字で「トイレ」と書かれていなくても、そこがトイレであることがわかる。世界のあちこちで使われているこのトイレマークが実は日本で生まれたものだということを( 50 )。
 トイレマークが生まれたのは、1964年の東京オリンピックがきっかけだ。この東京オリンピックは、アルファベットを使わない国での初めての開催であったため、特に問題に1なったのが、言葉の壁だった。当時、日本国内の案内板は「お手洗い」などと日本語で書かれているものがほとんどだった。
 ( 51 )、それでは世界90数か国から来日する選手たちに理解してもらえない。かといって、参加国すべての国の言葉で書くわけにもいかない。そこで、案内板作成者たちは、ある国の選手が理解できるよう、絵で表すことを考えた。( 52 )、トイレマークなのだ。そのほがに上食堂、シャワー、公衆電話等の施設や設備を表すマークや、水泳、バレーボール等の競技も作られた。競技を表すマークは、この東京オリンピックで初めて全全面的に導入された。
 そして、その後のオリンピックでもデザインを変えながら毎回( 53 )。トイレマークに代表されるように、東京オリンピックをきっかけに日本で生まれたマークが、言葉の壁を越え、今や新たなコミュニケーション手段として、世界に広がっている。それは、あらゆる人にかわりやすくという思いが世界に届いた( 54 )。

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以下は、留学生が書いた文章である。

「のぼり」


シルバ・ジョゼ


それを見たのは、日本に着いた日、空港からホテルへバスで向かっているときだった。高さは (50)。青い布に折い字で「夏祭り」と書かれた大きな長方形の旗が道路沿いに一定間隔で何本も立っていたのだ。初めて見る、面白い光景だった。
 このとき、「この旗間は何だ?」と思った。しかし、街を歩くと、あちこちに似たような旗があり、それらを見ているうちに、!これは広告だ。」と気づいた。旗にはそれぞれ、「お弁当」、「食べ放題」、「本日特売日」といった短い言葉が書かれている。
 (5|)旗も色が派手で高さがあり、|本でもよく目立つ。そのため自然と目が行く。また、何本か同じ旗が並んで立っていると、まるで一つの大きな独板のように見える。さらに、旗はどこにでも簡単に立てられるから、街のあちこちで(52)。私はこの旗に強い関必を持った。
 (53)、この旗は「のぼり」というそうだ。サイズは縦I80センチ、横60センチのものが多い。布の上部と片方の端に棒が通してあり、風が吹かなくても見えるようになっている。今の形ののぼりは、600年ぐらい前にはすでにあり、当時は戦いで自分の軍と敵の軍とを見分けるために使われていたらしい。時代は変わり、今はそのような目的で使われることはない。だが、今も、情報を一瞬ではっきりと伝えたいときにのぼりを使うのは(54)。のぼりの特徴をとらえ、広告に応用した発想に関心した。

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